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発達障害の教科書TEXTBOOK

サポートも重要!ライフスキル・トレーニングの効果とは?

1.まずはライフスキルをチェックしよう

発達障害の子にとって必要なライフスキルの10項目ですが、まずは何が出来ていて、何が出来ていないかを確認することからスタートしましょう。

現状を把握することで、先の見通しや計画を立てて本当に必要なライフスキル・トレーニングは何かを知ることが出来る上に、課題を明確にすることでトレーニングを進めやすくなります。

また、意外と多いのが自分で出来ているように見えて、周囲の大人や家族が大部分をサポートしているという点です。

子供が出来ていると思っているものの、実際には大人が代行しているので本人のスキルとして身についていないことがあります。

必ずライフスキルをチェックするときには、『子供自身が』出来ていることをチェックし把握していきましょう。

ライフスキルのチェックの例を挙げますので、参考にしてください。

 

■日常生活で必要となるライフスキル

 

*自分で決まった時間に起きることが出来る *顔を洗うことが出来る
*歯を磨くことが出来る *朝食を自分で食べる
*身支度をする *今日必要なものを持ち確認することが出来る
*季節、場所にあった服を選び着替える *施錠して出かけられる
*予定の時間に到着出来る *挨拶をすることが出来る
*休憩中にトイレを済ませる *当番や部活を行える
*わからないことを相談できる *給食の配膳を行ったり時間通りに食べ終われる
*挨拶をしてから帰宅する
*帰ってきたら手洗いうがいをする *夕食をとる
*入浴し髪や体を洗うことが出来る *パジャマや部屋着に着替えられる
*余った時間を楽しく過ごすことが出来る *明日の準備をする
*歯磨きをする *目覚ましをセットして就寝する

 

 

■週に1回程度のライフスキル

 

*友達と遊ぶ約束をする *充実した休日を過ごすことが出来る
*休日も生活リズムが崩れない *部屋の掃除をしたりごみを捨てている
*自分で足りないものに気が付き補充する *習い事へ通う
*明日(翌週)必要なものを確認し用意する *必要なものの買い出しへ出かけられる

 

 

■1か月~数か月に1回のライフスキル

 

*美容院で髪を切ってもらう *旅行を家族や友人と楽しめる
*支払いなどを忘れずにする *書類などの手続きを期日までに行える
*不要なものをまとめて捨てられる *おこずかいを管理できる

 

 

■不定期のライフスキル

 

*勧誘などを正しく断ることが出来る *トラブルがあった時には親など相談出来ている
*ストレスを解消する術がある *体調が悪い時には適切な医療機関を受診できる
*余った分は貯金出来ている *美容院へ行くことが出来る

 

このように、ライフスキルといっても毎日行うことから、数か月や1年に1回程度のチェックでも良いことが出来ているか細かくチェックしていきましょう。今回例として紹介した内容を参考に、高校生などの学生生活でも充実した生活を送るためのトレーニングをスタートすることが出来ます。

 

 

2.トレーニングとサポートの違いとは?

ライフスキルを伸ばしていくためには、トレーニングをしていくことが重要になりますが、ライフスキル・トレーニングはトレーニングと名前が付いているものの、実際にはサポートすることも非常に大きなウェイトを占めています。

発達障害がある子の場合には、得意なことと苦手なことの差がかなり大きくなります。そのため、苦手なライフスキルを伸ばしていくためにはトレーニングよりもサポートに重点を置いて関わっていくことが大切です。得意なことに関しては練習によってどんどん伸ばしていくことが出来、さらには成功体験が増えていき自信にもつながっていきます。

ですので、得意なことに関してはどんどんチャレンジしてトレーニングをしていくことが大切です。しかし、一見得意に見えるものであっても実際には子供が努力しており、無理やり適応しようとしている行動もありますので、出来ることと出来ないことの見極めと把握は非常に大切になります。日ごろから子供の活動の様子をしっかりと観察しておきましょう。

一方、得意なことはトレーニングでどんどん伸ばしていくことが出来ますが、苦手なことや出来ないことの場合にはトレーニングをして伸ばすよりも、まずはしっかりとサポートを行っていき身につけることに焦点をあてていきます。

発達障害の子は失敗を繰り返していることが多く、その行動自体嫌いになっていたり、苦手意識があることが多いのでトレーニングを控えサポートを中心にしていきます。自分で実践することが大切なのではないか、と思うかもしれませんが、失敗経験を少なくし苦手意識を減らしていくこともとても大切な過程になります。

このようにライフスキル・トレーニングは、トレーニングとサポートのバランスをとりながら行っていくことで、発達障害の子供が得意なことを伸ばして自信を持てるようにしていくと共に、出来ないことに関しては苦手意識を極力持たないようにしていくことが重要です。決して全てにおいてトレーニングのみではないということを覚えておくようにしましょう。

3、トレーニングの効果は自己理解など多岐にわたる

生活に必要なスキルを習得するためのライフスキル・トレーニング。中でも得意なことに関しては、トレーニングでどんどん伸ばしていき成功体験を増やし得意な領域を理解することが大切です。ライフスキル・トレーニングの効果は、単に必要最低限なライフスキルを習得するだけではありません。

トレーニングを通して、得意な領域を自分で理解することで自己肯定感を高めることが出来、自分にとって得意なことと苦手なことを理解することが出来ます。苦手なことがわかるということは、自分で対策を考えることが出来るということです。どのように対処すべきか、自分の得意なことを活かして苦手なことに立ち向かうことが出来るかなど、自分で先の見通しを立てることが出来るので、自分の可能性を知ることが出来、将来の夢をもてるように変化していきます。

しかし、トレーニングの効果は目には見えるものとしてはとてもわずかです。ついつい、家族や周囲の大人としてはトレーニングの大きな効果を求めてしまいがちですが、ライフスキル・トレーニングの場合には全てのライフスキルを習得するためのものや、得意なことを飛躍的に伸ばすトレーニングでもなく、必要最低限の生活習慣を身につけていくためのものです。発達障害の子どもには、どうしても苦手であったり上手く出来ない行動があります。

トレーニングを何度も行っていくことで、社会のルールやマナーを少しづつ理解していき対応方法を学んでいきます。発達障害の子が今まで『生きずらい』と感じトラブルの元になっていたことが、ライフスキル・トレーニングによって安定し少しでも充実した日々を送ることが出来るようになります。

また、トレーニングを積み重ねていくうちに、子供本人も親や周りの大人も『こうすればさらに生活をより快適に送ることが出来る』と実感を持ち形に変えることが出来るようになることも大きな効果です。子供本人も自分にとって快適な環境や形を選択することが出来るようになっていき、周囲からもその選択を尊重されるのでさらに気持ちも安定していくことが考えられます。

気持ちが安定すると、今まで困難であったり失敗が多かったことにたいしても、少しずつ自信を持ち意欲的に取り組むことが出来るようになり、本来の能力を十分に発揮できるようになります。

発達障害の子は本来であればゆっくり時間をかけて出来るようになることが、失敗の多い経験や苦手意識が強くなり意欲が失われてしまっていることがありまので、得意な部分をトレーニングで伸ばしていくことで、他の力も伸びやすくなると共に自分で選択し可能性を広げることが出来ます。

このように、ライフスキル・トレーニングは生活をしていくためのスキルを習得することに間違いはありませんが、自己理解を深めたり本来持っていた能力を十分発揮することが出来るなど多くの効果があることがわかります。

 

4、サポートを行うことで苦手なことの解決が出来るようになる

ライフスキル・トレーニングの中でも苦手なことや上手く出来ないことはサポートが重要になります。

発達障害の子の中にはトレーニングをして得意分野を伸ばしていきサポートを行っていっても、スキルが中々身につかない場合があります。例えば、自閉症スペクトラムの子の場合だと、意図しない悪口を言ってしまったり、ささいなことで手が出てしまったりと対人関係のトラブルが多いことがあります。自閉症スペクトラムの子にとって、全体的に対人関係のスキルを身につけることはかなり苦手で、より綿密なサポートを行っていても苦労してしまいます。

しかし、そういう時は本人に努力を求めたり無理強いをするのではなく、周りにサポートの人を増やしていくことで解決することが出来る場合があります。そういう経験を積んでいくことで、自分1人で解決するのではなく周りの人に協力してもらうというスキルを身につけることが出来るようになります。

ライフスキル・トレーニングは1人で取り組むのではなく、家族や周囲の大人、先生、友達など多くの人に支えられながら進めていくことが望ましくなります。そういった経験や過程を通して、発達障害の子も人のサポートを得てもよいのだと理解しスキルを習得します。そのスキルは大人になってからも活躍し、自分にとって大切な支援者がいると思えることで気持ちの安定につながり生活への安定へも繋がっていきます。

5、まとめ

必要最低限の生活スキルを習得するためのライフスキル・トレーニング。しかし、実際にはライフスキル・トレーニングにはサポートとトレーニングがありその双方のバランスが非常に大切になります。得意なことはトレーニングを通してどんどん伸ばしていき自己肯定感を高めていくことで、他のスキルへも意欲的に取り組む意識が芽生える可能性があります。また、成功体験が多いとその分気持ちも安定し、その子が持つ本来の力を存分に発揮できるようになります。トレーニングを通しての効果は、心身共に安定した生活を送るためには重要な役割があることがわかります。

得意なことはトレーニングで伸ばしていくのに対して、苦手なことはサポートをしっかりと行っていきましょう。サポートをすると聞くとどうしても、何でも手伝ってしまい自主性が損なわれるのではないかと思うかもしれませんが、実際は周りの大人が障害について理解し、その子にとって過ごしやすい環境や状況を整えることですので、本人も自分1人で解決するのではなく周囲に頼っても良いのだと理解することが出来るようになります。失敗する可能性が高いものを無理にして気持ちが沈んでしまう心配がないので、他の事に意欲的に取り組んでいけるようになります。

ライフスキルは10項目全て完璧に出来るようになる必要はありません。誰にでも得手不得手があるように、出来ないことや苦手なことがあっても十分に生活を送ることは出来ます。しかし、著しく出来ないことがあると大きなトラブルに巻き込まれてしまう危険があります。そういった危険やトラブルを避けて、安定した生活を送るようになるためにも、ライフスキル・トレーニングを行っていきましょう。

児童発達支援管理責任者 本多 研治

この記事を書いた人
児童発達支援管理責任者 本多 研治

日本社会事業大学 社会福祉学部 卒業後、飲食店の店長や放課後等デイサービス事業所に保育士として勤務。
ドットライングループ入社後は児童発達支援・放課後等デイサービス かがやきのまちの立ち上げを経験。現在は障がい者グループホーム みんなのまち、就労移行支援・自立訓練 はじまりのまち、就労継続支援B型 ゆうきのまち、企業主導型保育園 みらいのまちなど、障害福祉・保育事業を管掌。

【資格】
社会福祉士、保育士、児童発達支援管理責任者、食品衛生責任者

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