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発達障害の教科書TEXTBOOK

発達障害の『療育』って何?障害によって通所出来る施設は違う?

1、『療育』とは?

発達障害の診断とセットになって紹介されることが多い『療育』。療育とは発達障害といった障害を持った子どもたちが、将来特性によって起こる生き辛さや不自由さを少しでも減らしていけるように、社会的な自立や社会生活に適応できるようにサポートやトレーニングを行っていくことです。

発達障害は脳の機能障害ですので、病気のように手術などで治療することも投薬で治すことも出来ません。しかし、機能障害があることで対人関係やこだわりの強さを持ってしまい、周囲から理解されず苦しんでしまいます。そういった苦しみを減らしていき、社会生活に適応しやすくするためのトレーニングを行っていきます。

『療育』は医療と保育や教育の両方の連携をはかりながら、食事や排泄といった基本的な生活スキルや、運動や言語能力などのトレーニングに至るまで、その子1人1人にあったサポートやトレーニングを行います。『療育』をすることで、他の子どもと肩を並べるために訓練をしていくのではなく、その子の良い部分を伸ばし苦手な部分をサポートしていく形で自己肯定感を育んでいき、その子らしく生きていけるようになることが目的です。学校生活や保育園ではサポートしきれないコミュニケーションスキルなども、少人数や一対一で接してくれるので手厚い手立てを講じてもらうことが出来ます。

発達障害の子はその特性から、周囲から『変わった子』『空気の読めない子』『みんなと仲良く出来ない子』『乱暴な子』と一方的に見られてしまい、自尊心を傷つけられたり、また他の人と一緒のことが出来ないことに悩み苦悩してしまいがちです。しかし、療育をすることで、たくさん自分の良い部分や出来る喜びを感じることが出来、自己肯定感を高めることが出来ます。療育を通して『出来た』という気持ちを何度も経験することで、将来やりたいことを見つけ、自分らしく生きることの支えとなるための礎を作ります。

2、『療育』をすることのメリットは何があるの?

では、療育をすることのメリットは何があるのでしょうか?

療育のメリットとしては

 

・親が子どもに対して正しい接し方や工夫の仕方を学ぶことが出来る

・自分の苦手な部分を理解し苦手な部分を緩和することが出来る

・子どもの障害を受け入れることが出来るようになり1人じゃない事を知る

・自分が出来ないことがあっても自責の念を減らすことが出来る

・ソーシャルスキルやライフスキルなどその子にとって最適な方法で学べる

 

があります。では、メリットについて細かく見ていきましょう。

 

【親が子どもに対して正しい接し方や工夫の仕方を学ぶことが出来る】

発達障害に気が付くまでは、多くの保護者は子どもの特性に対して『育てにくい』と感じることが多く、どのように接して良いか悩んだり時には苛立ってしまいます。我が子のこだわりの強さや、パニックになった時の対処など、関わり方に対して悩み途方に暮れることがありますが、療育では子どもの特性に合った関わり方やサポートの仕方を専門家が教えてもらうことが出来ます。一般的な子育て論とは異なり、発達障害の子どもにはその子に一番適した方法でサポートしていくことが大切になります。今まで悩み、苦しんでいたことを相談したり、正しい接し方や日常生活で工夫したら良い点などを教えてもらうことが出来るのは大きなメリットになります。

一番身近な保護者が障害について理解し、その子の良い部分を伸ばしていくことは、発達障害のある子にとっても大切なことです。

 

【自分の苦手な部分を理解し苦手な部分を緩和することが出来る】

発達障害の子は得意な分野と苦手な分野の差が激しいことから、凹凸ともいわれます。ある分野に関しては人よりも素晴らしい才能を発揮する反面、コミュニケーションが苦手であったり対人関係で悩むことも多く、一般人が自然に出来ることが出来なかったりします。自分の苦手な事を理解することは、自分を知り理解する上でとても重要なことです。自分の苦手な事を理解しているとその事をトレーニングしていくことも可能ですし、どのように工夫すれば克服できるかも考えることが出来ます。

療育では、良い部分を伸ばしていくと共に苦手な部分をサポートやトレーニングを行っていき緩和していくことが出来ますので、自分を見つめ受け止めることが出来ます。

 

【子どもの障害を受け入れることが出来るようになり1人じゃない事を知る】

発達障害は、生まれた時に診断されることはなく1歳半検診や、3歳半検診、幼稚園や保育園から発達に関して気になることがあるから相談に行って欲しいと言われてから診断されますので、保護者としても戸惑いやショックが大きく動揺してしまいます。「なぜ、どうして」「自分のせいだろうか」と保護者自身を責めてしまったり、将来の事を考えていき場のない不安に襲われることもあります。しかし、療育ではそういった保護者の気持ちもしっかりと受け止めてくれ、サポートを行ってくれると共に将来に関しても専門家が親身になって相談に乗ってくれます。

また療育センターには同じ思いをした保護者がたくさん通っていますので、相談しあったり共感してもらうことが出来ます。『一人じゃない』と前向きに障害に対し考えることが出来ることも大きなメリットでしょう。他の保護者に相談したら驚かれるような『同じ道しか通りたがらない』『特定の音を嫌がる』『急な変化にパニックになる』といった内容でも、共感し理解してもらったり解決策を教えてもらったりと情報交換をすることも出来ます。1人で今まで抱えてきた不安や悩みを共有し理解し合える存在に出会うことが出来るのも、療育センターの大きな魅力です。

 

【自分が出来ないことがあっても自責の念を減らすことが出来る】

発達障害の子どもは他の子に比べて、周囲から叱責されることが多くあります。例えば注意欠陥多動性障害(ADHD)の場合であれば、衝動的に手が出てしまったり、ある程度の年齢になっても順番を守ることが出来なかったりすると『乱暴な子だ』『どうして順番すら守れないのか』という言葉や視線を向けられてしまい傷つけられます。また本人も小学校低学年程度であれば気にしないでいれたものの、年齢が上がっていくについれて、周りの子が出来ているのに自分は出来ないことや周囲から空気が読めない等と言われることに対して悩み苦しんでいくことがあります。

しかし、自分が何が得意で何が苦手なのかを療育を通して知ることで、自分に出来ないことや苦手なことを知り、自分が出来ないことは自分のせいではなく、機能障害であると理解することが出来ます。自己否定を少しでも減らし前向きになれるようにサポートしていくのも療育のメリットでしょう。

 

【ソーシャルスキルやライフスキルなどその子にとって最適な方法で学べる】

発達障害の子はソーシャルスキルやライフスキルが不足しており、それが原因で人間関係で辛い思いをしてしまったり、生き辛くなる危険があります。人と接するスキルであるソーシャルスキルと、日常生活を形成していくライフスキルは、療育を行うことで徐々に克服することが出来る上に、生活面を工夫していき苦手な事や辛いことから避けることが出来ます。療育は学校のように全体をみてまんべんなく教えていくのではなく、その子の特性をしっかりと知った上でその子に最適なサポートやトレーニングを行います。ですので、ソーシャルスキルが不足している場合には、人との関わり方や様々なシーンでの対処法などをしっかりと丁寧に教えてくれます。苦手な分野を少しでも緩和させていいくと共に、得意分野はしっかりと伸ばしていくことが出来るのが『療育』のメリットです。

このように、療育には多くのメリットがあります。発達障害の子が、出来るという経験をたくさんしていき、自分を責めずに自分らしく生きていける土台を作っていくことが療育の基本になります。

 

3、障害がある子どもが利用できる療育機関とは

『療育』といっても、実際にはどのような施設があるのかはあまり知られていませんよね。発達障害だけでなく障害がある子の多くは療育を行いますが、実はたくさんの種類があり、どの療育機関に通うかは障害の内容によって異なります。療育を受けることが出来る機関は以下になります。

 

・施設名内容児童発達支援センター

児童発達支援事業所就学前の子どもの普段の生活において食事や支度などの自立のサポートから、遊びを行ったり、勉強のサポートをしていく施設医療型児童発達支援事業所児童発達支援事業所や児童発達支援センターなどの役割にプラスして
医療的な行為も行うことが出来る支援機関放課後デイサービス主に6歳カラ18歳までの就学児童を対象とした支援施設で、保護者が仕事などで忙しい場合などにすることが出来る。
長期休みや校了後に、ソーシャルスキルやライフスキルのトレーニングを行うなど発達障害の子をサポートをしていく施設福祉型障害児入所施設知的障害児施設支援、盲ろうあ児施設支援、肢体不自由児施設支援、重症心身障害児氏悦支援にあたる。
障害がある児童が入所した上で、日常生活に必要なスキルや知識、技能をサポートしていく施設医療型障害児入所施設福祉型障害児入所施設に加えて、治療あ看護を行うことが出来る入所施設。基本的には知的障害、肢体不自由、重症心身障害の子どもが該当する

この中で、児童発達支援センターと児童発達支援事業所は基本的には同じように発達障害の子どもが療育するための施設ですが、厳密には少し異なります。

 

・児童発達支援センター

児童福祉施設の1つで、各地域における児童発達支援の核になる療育機関です。未就学児が療育のために通所し学ぶだけでなく、地域の保育園や幼稚園に通う障害の子への支援や、そういった子ども達が就学した時に放課後デイサービスを利用できるように併設されていたりします。また、発達障害の子どもだけではなく、保護者に対しても接し方や工夫の仕方などのサポートも行っています。

 

・児童発達支援事業所

療育するという点に関しては児童発達支援センターと同じですが、児童発達支援事業所の場合は出来る限りたくさんの人が療育を受けられるように、多くの地域に設置されている機関になります。児童発達支援センターは療育に加えて地域への支援も行っていますが、児童発達支援事業所は地域支援は行わず、療育を専門的に行っている施設です。

このように、同じような施設であっても厳密には利用内容が異なってきます。一見、どこを利用したら良いのかわからないと思うかもしれませんが、きちんと専門家やかかりつけ医が相談し紹介してくれます。

 

4、療育を受けるためには必要な手順がある

療育機関はそれぞれ支援内容が異なりますので、児童福祉法で定められている支援内容でどれに該当するかで決まります。ですので、発達障害だからどの施設で療育が出来るというわけではありません。発達障害であれば、発達障害の療育に特化している療育機関に通うことになります。

療育は乳幼児健診などで、療育の必要があると判断された場合や、保育園や幼稚園に通いながらも障害があるために教育や生活などで困難な特性がある場合に、専門的な療育を行う必要があると認められます。知的障害や身体障害があり障害者手帳を受給されている場合や、療育手帳を受給されている場合はもちろんのこと、そういった障害者手帳がない場合でも障害児通所給付費申請と専門家の意見書と一緒に提出すると、療育の必要があるとみなされ受給者証を交付され通所をすることが出来ます。基本的には発達障害と診断された場合には、療育を専門家や医師から勧められますので、その指示に沿って受給者証などを取得しましょう。

しかし、現在発達障害と診断される人は増加しており、療育機関によっては店員オーバーしてしまっていることがあります。定員が空いたり、近隣の療育機関を紹介される可能性があることも覚えておきましょう。

療育は早期であれば、さらに効果が高いと言われています。療育を考えているのであれば、まずは発達支援センターなどに相談にいき、今後の流れを聞いておくと良いでしょう。

4、まとめ

発達障害をはじめ、障害を持っている子どもは日常生活や対人関係で悩み苦悩することが多くあります。その苦手とする分野を『療育』を行うことで克服したり、困難と感じていたことに関して適切な行動をとることが出来るようになり、社会生活に適応できるようになり充実した生活を送ることが出来ます。

療育は無理やり行っていくのではなく、障害がある子どもが自主的にトレーニングを行い、大人になった時に社会生活に適応できるための基礎となるということを覚えておきましょう。周りと足並みを揃えるのではなく、子どもが本来持っている特性をしっかりとみんなが理解すると共に、今まで怒られたりすることが多かった発達障害の子どもが『出来た』という達成感を感じられるようになり自己肯定感や自己有能感を高めることが重要です。

療育は早期にスタートすればさらに高い効果があると言われていますが、即効性があるのではなく長い時間をかけてトレーニングしていきます。ですので、すぐに効果がないと判断せずに、長い目でみていくことが大切です。

社会福祉士・保育士 垣本祐作

この記事を書いた人
社会福祉士・保育士 垣本祐作

【所属】
株式会社ドットライン 代表取締役兼ドットライングループCEO
一般社団法人 全国介護事業者連盟 千葉県支部 支部長/関東支部 副支部長
一般社団法人 サービス管理責任者協会 理事
社会福祉法人 和心会 理事

【資格】
社会福祉士、保育士、児童発達支援管理責任者、介護福祉士、サービス管理責任者、宅地建物取引主任者、福祉住環境コーディネーター2級、福祉用具専門相談員

【略歴】
千葉市立稲毛高校、日本社会事業大学 社会福祉学部卒。慶應義塾大学法学部(通信課程)学士入学。
パソナグループ 株式会社ベネフィットワン(東証一部上場)にて、法人営業部として勤務後、ボートレーサー(競艇選手)試験に合格し、ボートレーサー養成所(108期養成員)入所。
退所後、起業。日本初のボートレーサー試験予備校を設立し、合格者8割以上のシェア達成。マーケティング事業等を経て、2011年 株式会社ドットライン創業。2014年より医療・介護・福祉・保育事業開始。

【メディア実績】
日本経済新聞、日経BizGate、千葉テレビ、産経新聞、東京新聞、高齢者住宅新聞など多数

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