こんにちは。
大家族施設長のほんだけんじです。
本日のブログは、当教室のコースの一つである運動療育、そしてその中でも人気のプールについてのお話です。
(真面目モードです。笑)
はたして、プールでの運動療育が発達障がいをもつお子さまにどのような良い効果をもたらすのか。
子どもたちが好きだから?
それも間違いではありません。
というより、それは当教室の基本です。
子どもたちは「楽しい!」ことに心が躍ります。心が躍るということは、前向きに体験できるということ。それが大事なのです。
どんなに理論的に素晴らしいとされる療育も、前向きな体験でなくては主体性が育ちませんし、内容よりも「やらされている感覚」が強く残ります。発達障がいをもつお子さまであればなおさらです。
ですからその楽しさをふまえた上で、今日は今までの学習や経験からこのプログラムを選んだ理由、その裏付けとなるポイントを共有できたらと思っています。
それではさっそく、3つのメリットについてご紹介していきます。
メリットその1≪水の特性による効能≫
浮力、抵抗力、水圧、水流…
水にはいろいろな特性があります。
そしてこれが自然かつ効果的な全身運動に大きく影響しているのです。
順番に細かく見ていきましょう。
■浮力(ふりょく)
お風呂に浸かった時にフワフワ浮いたように感じるアレです。ものを押し上げようとする力が働くため、水中では間接などへの負荷が少なく筋力トレーニングができます。
■抵抗力(ていこうりょく)
移動方向と反対の力を体に受けるのが抵抗力です。個人の可能な限りの強度に自然と調整されますし、全身くまなく運動ができます。
■水圧(すいあつ)
水の深さが増すごとに大きくなる体を圧迫させる力のことです。水深数十センチの圧迫力はささいなものですが、それでも全身の血液循環を良くしてくれるので、むくみや疲労回復にも効果的です。
■水流(すいりゅ~~~~~~~)→ココがすごい!!
水中を歩いたり泳いだりすることで体の表面を水が流れている感覚になるのは、水流の影響です。難しい言葉で言うとフラッター現象と言いますが、要するに人体に水流が加わることで、圧力によって皮ふが波打つような「ゆらぎ効果」のことです。
このゆらぎ効果は、脳の活性化を促進して人体のバランスを正常にするだけでなく、精神的にもリラクゼーション効果があるとされています。お風呂のジャグジーも同じようにゆらぎ効果を生み出すための仕組みです。
以上のように、水中での何気ない動き一つひとつをとっても、無理のない運動が自然にできていて、筋力アップや脳細胞の活性化へとつながっているのです。
だから
「動くのは苦手…だけど自分のペースで水中に漂っているのは心地よい」
そんなお子さまにも効果的ですね!
メリットその2≪地域社会とのかかわり≫
かがやきのまちの療育の目的は、運動能力や身体機能の向上だけではありません。
教室に通うお子さまが、障がい種別や障がい特性に関係なく、今よりも社会性(ソーシャルスキル)を向上させ、地域の中の一人としてかがやけること。
プールに行くことは、集団行動・地域住民との交流・世間のルールに触れること、お子さまの発達にとって大事なことをいっぱい吸収できるチャンスなのです。
・駐車場では他の車に注意して、みんなで行動する。
・入場や着替えの際には、他の方の迷惑にならないように。
・他の方がいる場合には待つことも必要。
・プールサイドで走ってはいけないし、走ると知らない人から注意される。
普段環境や刺激を調整して生活することが多いお子さまであれば、他者の存在や行動パターンを知るいい機会となります。またその人たちはいつも同じ人ではないということも影響します。
これがもし一人、あるいは数人での体験であれば、こういった刺激や変化は「恐怖」となってしまうこともあるでしょう。ですが、もし同じ教室に通う友達と一緒で、そして安心できる存在の先生が付き添いのもとであればどうでしょうか。
メリットその3≪成功体験を体感しやすい!≫
最初にも言いましたが、「楽しい!」と思うことは前向きに、主体的に取り組みます。前向きに取り組むということは、その体験を本人が自ら受け入れようとしている心の状態です。
そんな状態であれば、ルールや決まりも「守らなきゃいけないストレス」から「守ることでいいことがいっぱい」という心理状態に少しずつシフトしていきます。
また、お子さまの運動能力にはもちろんばらつきがあります。
ですがそれぞれの発達段階に適した運動が自然とできるということは、個々のペースによってそれぞれ達成感(=成功体験)を感じることにつながります。
そこには失敗がありません。正確にいえば、「失敗」と感じる要素がほとんどない、ということです。
たとえば帰りの会でこんなやりとりになります。
先生 「Aくん、きょうの感想はなにかありますか?」
Aくん「きょうはプールにいきました!」
先生 「プールではどんなことをしましたか?」
Aくん「先生とみずをかけっこしたらいっぱいかかってたのしかったです!あと○○くんとおいかけっこしたり、あといっぱいもぐったり、たのしかったーーー!」
先生 「Aくんは今日きがえもすごく早くできてましたね!拍手~~」
こんな感じで、どんなことが心に残っているか発表(アウトプット)してもらうことで、よりその成功体験を形にしていきます。また個々の感動するポイントを見極めることもできます。
(中には発語がままならない、またお話はできるけど人前で発表することに苦手意識が強い、そんなお子さまももちろんいらっしゃいますから、その時のポイントはまた別の機会にお話させていただきます)
頭で理解したことはすぐ忘れてしまいますが、心で感動したことはささいなことでも一生の記憶に残ります。
仲良しの友達と話したバカみたいな話は、何十年たっても「あのときこんな話してたよなぁ」と言ってゲラゲラ笑えることってありますよね。
(内容はほとんどないのに。笑)
さて、次回は「農業体感プログラム」についてのブログをお楽しみに!