HSPは敏感気質と言われ、一般的にはあまり気にすることがない事であっても気にしてしまったり、慎重になってしまったり、何気ない一言で傷ついてしまいます。周囲の雰囲気や言葉にも傷ついてしまったり、気を使いすぎてしまうので、精神的に疲れてしまったり生き辛いと感じてしまうことがあります。HSPかもしれないと感じた時には、まずセルフチェックを行ってみましょう。そして、もしもHSPの疑いが強い場合にはどうすれば良いのかという対処法も紹介します。
目次
1、【チェックリスト付】まずは自分や子どもがHSPかをセルフチェックしよう
周りに振り回されてしまう、ちょっとしたことをずっと気にしてしまう、環境の変化などが大きなストレスと感じる場合にはHSPかもしれません。
自分に思い当たることがある場合には、エレイン・N・アーロン博士が考えた自己診断チェックリストでセルフチェックしてみましょう。
少しでも当てはまる場合には『はい』を、あまり当てはまらない場合には『いいえ』として『はい』の数を数えていきましょう。
HSPのセルフチェックリスト
①自分を取り巻く環境の微妙な変化によく気が付く方だ。
②他人の気分に左右される。
③痛みにとても敏感である。
④忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋など、プライバシーが得られ、刺激から逃げられる場所に引きこもりたくなる。
⑤カフェインに敏感に反応する。
⑥明るい光や強いにおい、ざらざらした部の字、サイレンなどの音に圧倒されやすい。
⑦豊かな想像力を持ち、空想にふけりやすい。
⑧騒音に悩まされやすい。
⑨美術や音楽に深く心動かされる。
⑩とても良心的である。
⑪すぐにびっくりする(仰天する)。
⑫短時間にたくさんのことをしなければならない時、混乱してしまう。
⑬人が何かで不快な思いをしている時、どうすれば快適になるかすぐに気づく。(たとえば電灯の明るさを調節したり、席を替えるなど)
⑭一度にたくさんのことを頼まれるのがイヤだ。
⑮ミスをしたり物を忘れないようにいつも気を付ける。
⑯暴力的な映画やテレビ番組は見ないようにする。
⑰あまりにもたくさんの事が自分のまわりで起こっていると、不快になり神経が高ぶる。
⑱空腹になると、集中出来ないとか気分が悪くなるといった強い反応が起きる。
⑲生活に変化があると混乱する。
⑳デリケートな香りや味、音、音楽などを好む。
?動揺するような状況を避けることを、普段の生活で最優先している。
?仕事をする時、競争させられたり、観察されていると、緊張しいつもの実力を発揮できない。
?子供のころ、親や教師は自分のことを『敏感だ』とか『内気だ』と言っていた。
引用:エレイン・N・アーロン(2008)『ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ』SB文庫
いかがでしたか?HSPは周りの雰囲気や環境だけでなく、味覚や音、触感などにも敏感に反応してしまいます。上記のチェックリストで12個以上に【はい】のチェックが入った場合には、HSPの可能性が非常に高くなります。このチェックリストはエレイン・N・アーロン博士が考えたもので、12個以上のチェックでHSPの疑いが高くなりますが、数個しかチェックが入らなくても、その度合いが非常に強い場合にはHSPの可能性があります。また子供の場合であれば、進級や進学時に『行きたくない』と言った言葉が出てきたり、慎重になりすぎる、些細な事をずっと引きずっている場合があります。子どもは自分の思いや特性を言葉にすることが難しいので、保護者や周りの大人がしっかりと様子を観察していくことが大切です。
どうして生き辛いのだろう、周りに左右されて辛い場合にはまずはセルフチェックをしてみて、自分の敏感な部分を個性、特性として認めてあげることが生き辛さから解放される第一歩になります。
2、HSPの特性である『敏感すぎる』こととうまく付き合うための対処法5点
上記のセルフチェックを行った時に、12個以上当てはまる場合にはHSPの可能性が高くなります。HSPは病気ではなく、あくまでもその人が持っている個性です。人よりもあらゆることに敏感に反応してしまう特性があるということですので、当然治療方法があるわけでも特効薬があるわけでもありません。
では、自分がHSPと分かった場合にはどうすれば良いのでしょうか?自己肯定感を高めHSPとうまく付き合っていくための対処法を紹介します。
①相手に合わせ頑張りすぎることをやめる
HSPの人は周りの空気を敏感に感じ取り、共感することが出来るという素晴らしい特性があります。しかし、その特性が強すぎるために自分の意見を言わず周りに合わせてしまうので気疲れしてしまいます。小さいことからでも良いので、自分の意見を大切にし、相手に無理に合わせることをやめてみましょう。いきなり周りの意見と全てを合わせなくなると逆に強い不安が出てきますので、ちょっとしたことから自分の意見を言うようにすると良いでしょう。人によって感じ方は様々ですので、自分は自分、相手は相手と割り切ることが大切です。子どもの場合には、自分の意見を言っても良いことを伝えていきましょう。日常生活の中で、保護者が自分の意見を引き出せるように促していくことも効果的です。
②自分を認めてあげよう
周りの空気を敏感に感じ取り協調することが多いHSPの人は、周りに合わせられるという良い点がありながらも、周りを気にしすぎて気疲れしてしまいます。また、自分の感情を抑えてしまい内に秘めてしまうので、どんどん辛くなってしまいがちです。感情を溜め続けていると、いずれ限界になってしまいますので自分の感情を解き放つ時間を設けましょう。周りに当たり散らすのではなく、客観的に自分の感情を見つめなおし、怒ってしまう自分も、悲しむ自分も全ての感情が自分を作っていると認めてあげることで、負担を減らすことが出来ます。
また、HSPの人は嫌われるということを非常に恐怖に感じます。嫌われることは誰でもとても辛いことですが、特にHSPの人は人から嫌われたくないと感じることが多くあります。しかし、相手に嫌われるためにはそれ相応のひどいことをしないといけず、HSPの人が気にする程度のことではあまり嫌われることはありません。ですので、全てを周りに合わせるのではなく、自分がしたいと思ったことを発言したり行動に移していくことを、まずは認めてあげましょう。自分の判断や感情を客観的に受け止め、認めてあげることが自己肯定感へ繋がっていきます。
③自分がリラックスできる環境を作る。
五感も敏感であるHSPの人にとっては、大きな音や騒がしい場所や強い光がある場所などは、ストレスになってしまいます。HSPの人に限らず、自分がリラックスできる場所や環境をキープしておくことは、精神的な疲労を緩和してくれます。苦しい、辛いと感じた時に自分の気持ちを落ち着けリラックスできる場所を見つめておきましょう。
陽だまりが気持ち良いカフェや、心地よい音楽が流れる場所、静かな図書館などだけでなく、自分の部屋にお気に入りの本、音楽や落ち着く色合いにしたりと環境を整えておき、気持ちをリセット出来るようにしていきましょう。
子どもの場合には、1日の話を聞いてあげることが大切です。今日感じた事、心が苦しくなったことなどを吐き出せるように、日ごろから会話をし信頼関係を築いておきましょう。
④自分が熱中できることや得意なことを伸ばしていこう。
どうしても周りを気にしないということは難しいですが、周りを気にしないくらい熱中できる趣味を見つめることも1つの対処法になります。周りの空気を気にしないくらい集中出来ることがあれば、周りの空気の変化などを敏感に感じ取らずにすみます。得意分野や自分が熱中できることを見つけていくことで、自分に自信が付き安心感や落ち着きを持つことが出来ます。
子どもの場合には得意な事をしっかりと褒めていき、自己肯定感を高めていきます。また、熱中できることを見つけられるように様々な経験をさせてあげることも良いでしょう。
⑤時間軸のメインを自分に設定する
協調性があり相手に共感することが出来るHSPの人ですが、どうしても相手に合わせることが多いので、自分の意思を見失ってしまったり、相手に合わせすぎる自分に対して嫌悪感を抱いてしまうことがあります。
どんな人とも合わせられることは素晴らしいスキルですが、自分の意思や思いを大切にすることは非常に大切です。自分は何がしたかったのか、どういう思いがあったのかという思いを大切にして、自分軸にして生活をしてみましょう。先ほどのように自分を認めていくと共に、自分を軸にした生活を少しづつ送っていくようにしましょう。
5つの対処法を紹介しましたが、HSPはあくまでも敏感すぎるという特性ですので、必ずしも治さなければならなかったり、無理にでもその特性を変えなければならないことではありません。むしろ、HSPとわかり改善することに対して大きなストレスを感じたり、苦しく感じる、または敏感に感じるけれど生き辛さを感じるほどでなければ無理に対処しなくてもかまいません。しかし、HSPの多くの人は現在の生活に対して大きなストレスを感じていたり、気疲れしてしまっている場合があります。そういった時に、少しでも肩の力を抜いて、自分の思いを大切に出来るように対処法を知っておくと良いでしょう。
3、HSPの人に適している職業と向いていない職業とは?
対人関係に加えて、時間や臨機応変な対応を求められがちな仕事は、HSPの人にとって大きな課題になります。就職先によっては、HSPの人に強いストレスを感じ心身共に疲労してしまい、二次障害に陥ってしまう可能性もあります。HSPには個人差があるので、一概に向いている職業や向いていない職業を決めることは出来ませんが、平均的に見た時に適している職業について紹介します。自分のHSPで現れやすい特性をしっかりと理解した上で、就職について考えていくことが大切です。
【どんな仕事が向いている?】
HSPの人は真面目に仕事をこなすことが出来るので、時間に限られずじっくりと向き合ったり、時間をかけても丁寧で質の高い仕事をこなせるという利点があります。スピード重視の仕事よりも、質の高さを求められる仕事に就くとやりがいや達成感を感じることが出来ます。雑な仕事をすることはなく、丁寧な仕事ぶりが得意ですので、ルーティンワークは非常に得意と言えるでしょう。事務職やクリエイティブな仕事は一般的にはHSPの人に向いている職業と言えます。
◇例:事務職、技術職、自営業、自由業、公務員(事務系)など
【あまり向いていない仕事とは?】
向いている職業で紹介したように、HSPの人は非常に丁寧で質の高い仕事をすることが出来ます。しかし、時間内に素早く仕事をこなしたり、刺激が強い、競争意識やノルマがきつい職場はあまり向かないと言えるでしょう。また、全国的に転職があったり異動が頻繁に行われる職種も、環境の変化によるストレスが大きく感じることがあります。安定した仕事内容や業務形態が落ち着いている職種の方が向いているでしょう。
◇営業職、飲食業、アパレル、接客業など
人生で大きな岐路となる就職。新しい環境に不安や心配をしてしまうことはいたって自然な反応です。安定した仕事を求めたり、公務員のように将来的にも心配のいらない職種は人気ですよね。しかし、HSPの人の場合環境の変化やノルマ、スピードを求められる仕事の場合『仕事が遅い、出来ない』『要領が悪い』『甘い、根性が足りない』と言われることが多く、自分に非があるのではないか、自分の出来が悪いから…と思ってしまいます。そうなると仕事が辛い、行きたくない、と負の連鎖になっていってしまいます。しかし、職種によってはHSPの人のようにきちんと丁寧な仕事をこなすことを求めている仕事もありますので、就職の時には自分の特性などを考察した上で、就職先を考えてみましょう。自分の得意なことを仕事に出来れば最も良いですが、そうは中々いかないのでそういった場合には、少しでもHSPの特性を活かせる職業を選択肢に入れてみることがおすすめです。
当然HSPとっても個人差が大きく、本来の性格や家庭環境で得意なことや苦手なことは変わってきます。また、自分に向いているであろう仕事をしてみても実際には合わなかった、又は自分には向いていないと思った仕事であってもしてみると意外と向いていた、という可能性も拭いきれません。こういった経験を積んでいき、自分にぴったりの仕事が見つかる可能性がありますし、また、自分に合っているのではないかという先見の明を鍛えることも出来ます。
自分に適している仕事は最終的には経験してみなければ、知ることが出来ません。しかし、仕事を探す時に上記で紹介したことを少し参考にして考えてみると自分に向いている仕事が探しやすくなります。
4、まとめ
多くの事に敏感になってしまったり、相手に気を使いすぎてしまうHSPの人。その特性から、仕事によっては日々の生活が辛く感じてしまいます。仕事を辞めたいと感じた時は、改めて自分の思いやなぜ辛いのかを客観的に考えてみましょう。そうすることで、自分がどのような気持ちを持っているのかを気付くことが出来ます。精神的に辛い思いをしてボロボロになりながら仕事を続けるのではなく、自分に適した職業を見つけるために辞めるという選択肢もお守りのように持っておくことも大切です。
HSPの人が悩み、経験したことは必ず次へ繋がっていきますので、他人軸ではなく自分軸で生き、自分はどうしたいか、自分がしたいことを認めていくということを少しずつ行っていくことで、より充実した生活を送ることに繋がっていきます。
子どもがHSPと分かった時には、学校生活で協調することで知らず知らずのうちにストレスが溜まってしまったり、辛さを言葉に出来ない場合があります。子どもの様子をしっかりと観察し、変化がないか、辛そうにしていないかなどを見逃さないようにすることが大切です。